図書館でたまたま見つけた本。
“海外と働こう” コーナーにおいてあり、気になったので読んでみました。
著者は、国連職員(※2014年執筆当時)の田島麻衣子さん。
田島さんは大学卒業後、世界4大会計事務所の一角を占めるKPMGに入社しました。
しかし大学時代にバックパックで回った、フィリピンのスモーキーマウンテンの現状が忘れられず退社。
オックスフォード大学院への留学などへ経て、2006年より国連世界食糧計画(国連WFP)に勤務されています。
アメリカ、ラオス、アルメニアなど、日本を加えた7カ国に住んだ経験を持ち、共に働いたことがあり、同僚の出身国は60カ国以上。
そんな国際経験豊富な方が著者です。
※田島さんは現在は、日本の政治家として活動されています。
(2019年から現在2023年は、立憲民主党所属の参議院議員。)
***
私も学生時代にバックパックでアジアを放浪したり、インドでボランティアをしたことがあります。
なので著者の田島さんに親近感を持ちながら読みました。
豊富な国際経験がある方なだけに、などほど…! と目から鱗な点がたくさんありました。
ここでは主に「世界で活躍する人の共通点」や、言葉を超えた「コミュニケーション力」で気になって点について抜粋や紹介をします。
本書の目次
第1章 「日本人の強み」を生かして働く
第2章 世界で活躍するひとが必ず持っている17の共通点
第3章 言葉を超えた「コミュニケーション力」を鍛える
第4章 ゼロから最短距離で英語力を身につける方法
第5章 「英語で話す力」を伸ばすヒント
要約
印象的な言葉をピックアップします。
(▶︎:引用、 *:ブログ管理人の感想です)
第1章 「日本人の強み」を生かして働く
ここでは9つの「日本人の強み」が紹介されています。
- 時間に性格
- 最後まで責任を持って、仕事をやり抜く
- 高い協調性
- ゆるぎない基礎学力
- 礼儀正しく、秩序を守ろうとする
- 使いやすさとデザインを融合させる能力
- 器用に分類する力
- 細かいところまで徹底して丁寧
- 先読み能力に優れている
自分ではまぁ当たり前だと思っていた
時間厳守の感覚。
海外では貴重なんだそうです。
また同時に、7つの“気を付けるべきこと”も。
- 上下関係にとらわれ過ぎない
- 下手に自分を低めない
- 日本人だけで常に固まらない
- 問題は一人で抱え込まない
- ステレオタイプに当てはめない
- 人と違うことを恐れない
- 安易にイエスと言わない、分からないままにしない
日本では美徳にも捉えられる“謙虚さ”
海外では「自身がないのかな?」と
マイナスにも捉えられることを知りました!
第2章 世界で活躍するひとが必ず持っている17の共通点
17の共通点。多いので一旦、以下の”アコーディオンリスト”にしまっています。
気になる方は以下をクリックして見てみてください。
- 人を魅了してやまない話術を持つ
- 愛嬌と、嫌われる勇気を併せ持つ
- 社交家と引きこもりが、一人の中に同居する
- 人との繋がりを大切にする
- 大統領であれ市井のひとであれ、対等に話す
- 相手の感情を敏感に察知し、冷静に対処する
- 激しい議論の中でも、相手にほほえむ余裕を持つ
- 自分と自分の可能性を信じる
- 朗らかさを持つ
- 人と違うことはいいことだと考える
- 「興味のアンテナ」が世界全体をカバーしている
- 自分の直感を信じる
- 中途半端な服装はしない
- 日常的な運動で健康管理
- ここぞ!という場面で持てるエネルギーを集中する
- 異文化に対する耐性が強い
- 自国について「多角的な理解」と「静かなプライド」を持つ
17の共通点の中で特に気になったのは2つです。
8. 自分と自分の可能性を信じる
16. 異文化に対する耐性が強い
以下でもう少し詳しく紹介します。
8. 自分と自分の可能性を信じる
こちらでは「自己肯定感」にも言及されていました。
「自分と自分の可能性を信じる」ことは「自己肯定感が高い」と言い換えられる
以前読んだ書籍「鋼の自己肯定感」に続き、こちらでも出てきた言葉。
意識している言葉に出会うと、ピピッと反応してしまいます。
▶︎独り言とガッツポーズと瞑想が効果的!?
効果的な独り言のコツ
「私」ではなく「あなた」という二人称で、
短く、明確に、一貫性を持って自分に話しかけること
「大事な局面でも一人ガッツポーズ」も自己肯定感を高めるのに大いに効果がある
(アメリカの社会心理学者のエイミー・カディ)
↓
私たちが日常何気なく行なっている身振りは、他者の自分に対する見方に影響を及ぼすだけでなく、自分自身の見方にも影響を及ぼす
“自信があるフリをすると
実際に自信がついてくる”
ということですね。
17. 自国について「多角的な理解」と「静かなプライド」を持つ
・海外で働くにあたり、完全にはコントロールしきれないもの3つ
- 慣れない気候の中で生活すること
- 異国の食べ物で生きていくこと
- その土地の宗教に日常生活の場面で関わること
・「相手が信じている対象への安易な価値判断は無用」
・大切なのは「日本人として異文化を楽しむ寛容さ」
「日本人として異文化を楽しむ寛容さ」
この言葉にビビビときました。
第3章 言葉を超えた「コミュニケーション力」を鍛える
・言葉以外でのメッセージのやり取り=「非言語コミュニケーション」
▶︎アイコンタクト
・アイコンタクトを重視する文化圏と、そうでない文化圏がある
・原則、「郷に入っては郷に従え」
・相手の興味を引いたり、自分の発言にインパクトを与えたりしたいときにも活用できる
▶︎喜怒哀楽の表現
・バックグラウンドが異なっている場合、自分の感情をよりはっきりと表現したほうがいい
・愛想笑いは禁物!
▶︎あいさつの仕方
・英語で会話が進む場合、対面のあいさつは、男女ともに握手でOK。
・違う土地のあいさつの仕方をミックスしないように。
(アメリカやオーストラリアなど、ヨーロッパよりも身体接触に保守的な人々に対して相手の頬にチーク・キス(頬と頬を合わせる)をする、など。)
▶︎沈黙
・対話する際に、沈黙を避けようとする文化圏と、そうでない文化圏がある。
(沈黙が恐ろしいアメリカ人、沈黙が美徳になり得る日本人)
・沈黙という「間」を利用すれば、相手の注目を得ることもできる。
▶︎言葉を超えたコミュニケーション
・各文化圏の行動パターンの基礎に、大まかでいいので慣れておく
・郷に入っては郷に従え。
場面に応じて相手に合わせると、人間関係の潤滑油になり得る。
アイコンタクトや沈黙という「間」の利用については、
海外に関わらずとも、会社のプレゼンなどにも活用できそうです。
第4章 ゼロから最短距離で英語力を身につける方法
ここでは「聞く」「読む」「話す」「書く」についても効果的な方法が述べられています。
それぞれ気になった点を紹介します。
▶︎「聞く力」
・基本語彙を増やすこと。
・ネイティブ・スピーカーがナチュラルスピードで話している英語音声付きで、日英対話が載っている教材を選ぶ。音声を聞いて、暗記するぐらいに声に出して言う。
・少しでも良いので、毎日繰り返し行う。最低九ヶ月。
▶︎「読む力」
【繰り返し読むレベルの場合】
・語彙を増やす。
・音読しながら読むと、さらに効果アップ。
【多読レベルの場合】
・わからない単語が出てきても、あまり気にせず読み進めること。
・日本語を一切介在させずに読むこと。
・読む目的、つまり設問や知りたい情報を意識して読むこと。
▶︎「話す力」
★自分の発音、アクセントに自信を持とう!
・「帰宅途中の一人しゃべり歩き」などを通じて、毎日アウトプットすることを習慣づける。
・上手に話すよりも、「相手に理解される話し方」にこだわる。
▶︎「書く力」
・「書く力」はコツコツ伸ばすイメージ。
・仕事で使える「書く力」を伸ばすには、まず読む量を増やすこと。
私はつい先月、知り合いのインド人家族と話した時に、
お父さん(インド人)にあまり英語が伝わりませんでした。。
“「相手に理解される話し方」にこだわる” が大切なのはよく分かります!
第5章 「英語で話す力」を伸ばすヒント
▶︎世界に通じるパブリックスピーチのコツ
・最初は大きな話から入る構成に。
・自分が話している対象に情熱を持つ。
・聴衆が覚えていられるのは三点まで。
相手の記憶にどう植えつけられるか、工夫すること。
・謙遜は禁物。大きめの声でゆっくり話し、身振り手ぶりや、アイコンタクトを活用しよう。
・質問に答える際は、ポジティブな態度を維持すること。
★上級者へのヒント:
質問やコメントしてもらい、聴衆を自分のプレゼンテーションに巻き込んでしまう
*すぐには答えられないような質問をされても “Right, that’s a very good question”(そうですね、それは良いご質問です)などと言って考えるための時間を稼ぐ。
私が行なっている日本語ボランティアでも「明かりと光の違いは??」など、
うーーん、英語でどう答えようか…と、回答に悩んでしまう鋭い質問もあります。
「後で回答しますね」となったとしても、ポジティブさを維持したいものです。
質問してもらい “聴衆を自分のプレゼンテーションに巻き込んでしまう”
これは私の日本語ボランティアでも取り入れたい点です。
まとめ&感想
本書は目次を見ただけでどのような内容が書かれているのかすぐに掴め、とても読みやすい構成になっています。
本書で特に印象的だったことばは二点です。
・「日本人として異文化を楽しむ寛容さ」(P.139)。
・「他国の言葉を学び、さまざまな国の文化を学ぶ中にあっても、私は日本人であり続けるべき」(P.140)
相手のこと、文化的な背景を知って受け入れることも大切ですが、それと同時に自分の日本人としのアイデンティティを持ち、日本人として”静かなプライド”を持ち続けることも大事なことだと思いました。
また“おわりに”で記された、田島さんの恩師の言葉
「仕事の現場に出て、あなたを前に進ませるものは、おそらく、共感する気持ちだよ。
これだけは、忘れないで」(P.287)
このことばも印象的でした。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
読書レビュー:2023/9/5
書籍紹介
タイトル:世界で働く人になる!
著者: 田島麻衣子(たじま・まいこ)
価格:1,400円+税
ページ数:288ページ
発行:株式会社アルク
発行日:2014年12月25日