仕事ばかりの毎日に疲弊していませんか?
「あやうく一生懸命生きるところだった」
本屋さんで偶然見つけた本です。
著者は韓国人のハ・ワンさんという、イラストレーター&作家さん。
仕事をやめて、自分の好きなように、自由に生きることを選択します。
本書のことばはどれも優しくて、もっと自由に生きてもいいんだ、ということを教えてくれます。
イラストもハ・ワンさん自身が書いています。ゆるいイラスト(ぱんいち(パンツ一丁)のハ・ワンさん?!)が随所に差し込まれていてキュート。和みます。
翻訳は岡崎暢子(おかざき・のぶこ)さん。
原作の韓国語もさることながら、岡崎さんの日本語訳が最高です!
(たまに読む翻訳本などは、実用書やビジネス本だから、ということもあるかも知れませんが、どうしても「翻訳された日本語」感があります。しかしこの本はぜんぜん違和感を感じませんでした。)
言い回しが秀逸で、ときどきクスっと笑ってします。
仕事で疲れたことも、そこまで大したことでないように思えてきました。
読んでみて印象的な言葉などを抜粋、紹介していきます。
目次で気になったところから、読んでみてください!
本書の目次
プロローグ 今日から、必死に生きないと決めた
第1章 こうなりたくて、頑張ってきたわけじゃない
第2章 一度くらいは思いのままに
第3章 生きていくって、たいしたことじゃない
第4章 あやうく一生懸命生きるところだった
エピローグ さよなら、一生懸命の人生
要約
ここでは印象的な言葉などを要約・抜粋していきます。
第1章 こうなりたくて、頑張ってきたわけじゃない
▶人生に「正解」を求めすぎたばっかりに
・すべてが自分の選択にゆだねられると考えるのは実に傲慢だ。
人生に正しい選択なんてない
・人生のすべてをコントロールしようと考えてはいけない。
だって、そもそも不可能なのだから。
「人生に正しい選択なんてない」
著者もこの事実に気づいたとき、妙に慰められたとあります。
わたしも同じくらい慰められました…!!
▶そこまで深刻に生きるものじゃない
よく人生は「なぞなぞ」にたとえられたりする。
本来、楽しむことが目的のなぞなぞに、僕らはあまりにも死に物狂いで挑んでいるのではないか?
答えを探すことにだけ集中し、問題を解く楽しさを忘れてはいないだろうか?
ここの部分が沁みます。
わたしも常に、正解を探して生きているような気がしていました。
「より良く生きるには?」と。
そうではなくて、今の一瞬いっしゅんを、楽しめばいいと、教えてくれます。
第2章 一度くらいは思いのままに
▶自由を売ったお金で 自由を買っている
会社員は、自分の時間と引き換えにお金をもらっている。
▶自由を取るか、お金を取るか
とにかく、給料とはお別れをした。
なるほど、、、
「給料」は元彼女、「自由」は今の彼女。
この例えが秀逸すぎる!と思いました。
たまに彼女(給料)と一緒に過ごした思い出がよみがえり、ふと笑みを浮かべたりもする。
…彼女がくれた安らぎに枕を濡らすこともある。
でもアイツはあまりにも僕を束縛しすぎた。
縁の切れた相手を思い返してどうする。
今は「自由」という名の新しい恋人がいる。
恋愛にはデート代がつきものだが、元カノとの恋愛では自由という対価を差し出し、今カノとの恋愛ではお金を差し出している。
それぞれに長所短所があるため、この恋愛には優劣はつけられない。
だが、いずれの状況に置かれていても、変わらない心理がある。
現在の恋人に向き合い、相手への気配りを忘れないこと。
つまり、今の僕は「自由」をよりいっそう愛さなければならない。
どんな時も、自分が選んだ相手(状況)と楽しむ。
これが大切なんだなと思いました。
▶”自分だけの人生”は 失敗の上に成り立つ
「まずは当たって砕けろだ。失敗したときは後悔すればよし」
ーーードラマ『孤独のグルメ』より
日本のドラマ『孤独のグルメ』の言葉が引き合いにだされ、「失敗」の大切さが解かれます。
失敗してもいい。
失敗したときは後悔すればいいだけだ。
きっと、他人の言葉を信じて群れを成した人々も、後悔するのは同じだから。
違うかな?
「失敗したときは後悔すればいいだけ」
この考えが今までなかったで。
霧が晴れたというか、ちょっと視界が広くなった気がしました。
第3章 生きていくって、たいしたことじゃない
▶たとえ片思いに終わったとしても
僕らには挑戦する権利がある
試しもせずにあきらめると、あきらめたことは心の片隅にずっと残り続けるから。
僕らには挑戦する権利がある。
もしそれが叶わない恋だとしても。
両想いになれなくても、その恋には十分意味があるから。
著者のハ・ワンさんは、人生を恋に例えるのが上手です。
うーん、
「やった後悔よりも、やらなかった後悔の方がずっと心残りになる。」
よく言われることですが、恋に例えるとより分かりやすいですね。
第4章 あやうく一生懸命生きるところだった
▶つまらなく見える日常を愛そう
ハ・ワンさんは「オ・グシル」というドラマが好きだそう。
それには韓国ドラマによくある財閥や運命の恋や、悪人もいない。
オ・グシルというヒロインの何気ない生活を切り取っている地味なドラマ。
でもそのつまらなさが魅力なんだそうです。
つならなく見えている人生の一瞬一瞬を細かく温かく見つめるその視線がいい。
他人が見落としがちなことをすくいあげる視線がうらやましい。
こんな目に見えない価値を発見できる人になりたいーーー。
だから、このドラマが好きだ。
ドラマの一部は、Youtubeでもみれるようです。
オグシル EP.1
私もこのドラマを観てみました。
各エピソードが数分の短いストーリーですが、引き込まれます。
人生を100とするなら、目に見える幸せな瞬間はどのくらいだろうか
楽しくてワクワクして、ドキドキして……。
そんな瞬間を集めたら、良くて20くらい?
残りの80はといえば、おおむねいつもと同じで、つまらなくて、何もない地味なものだろう。
そう、人生の大半はつまらない。
だから、もしかすると満足できる生き方とは、人生の大部分を占めるこんな普通のつまらない瞬間を幸せに過ごすことにあるのではないか?
全然ドラマチックじゃないと思っていた彼女の日常がドラマになると気づいた今、
僕の毎日もちょっと違って見えてきた。
トピックのこの締め方も好きです。
自分の代わり映えしない毎日も、なんだか違って見えてくるかも??
まとめ&感想
この本で一番言いたいのは、
「今目の前にある日常を楽しむ」ということかなと思いました。
なぞなぞが答えを出すよりも問題を解く楽しさを感じることが大切なように。
私が特に心に残ったトピックは以下4つです。
- 人生に正しい選択なんてない
人生のすべてをコントロールしようと考えてはいけない。
だって、そもそも不可能なのだから。 - 人生は「なぞなぞ」のよう。
楽しむことが目的なのに、問題を解く楽しさを忘れてはいないだろうか? - 給料という恋人を捨てて、自由という彼女と付き合ったのなら、
現在の恋人に向き合い、相手への気配りを忘れない。 - 失敗したときは後悔すればいいだけ。
僕らには挑戦する権利がある。
もしそれが叶わない恋だとしても。
両想いになれなくても、その恋には十分意味があるから。
そしてとくかく、岡崎さんの翻訳が最高です。
ところどころで、クスリと笑わせてくれます。
***
本書を読めば仕事で疲弊したり、「人生の答えをださないと!」とガチガチになった心も、きっとほぐれるハズ。
人生にちょっと疲れた人にもおススメです。
本記事がお役に立てば嬉しいです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
書籍紹介
タイトル:あやうく一生懸命生きるところだった
著者: ハ・ワン
訳:岡崎 暢子(おかざき・のぶこ)
価格:1,450円+税
ページ数:288ページ
発行:ダイヤモンド社
発行日:2020年1月15日