【小説×映画】朝井リョウ『正欲』|感想★5/5 共感し救われたこと、映画とのギャップ…〈ネタバレあり〉

読書:小説&エッセイ

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朝井リョウさんの『正欲』を読みました。めちゃめちゃ良かったです。


共感しすぎて、映画も観たくなり、数日内に映画も視聴。

映画は稲垣吾郎さんと新垣結衣さんが主演です!


ここでは 小説・映画 両方を読む&観てからの感想や、違いについて思ったことを、綴っています。

※ネタバレを含みます。
内容をまだ知りたくない方、小説 読了・映画 視聴後にご覧ください。

小説の感想 ★5/5

前情報なしで読み始めた 朝井リョウさん著書の『正欲』。

朝井リョウさんの別著『生殖記』がかなりインパクトがあり面白かったので、他の本も読んでみようと、手に取った本です。

本書、385ページと長編です。
しかし物語が 冒頭に出てきた ある事件に近づいてくと思うと 展開が気になってページをめくる手が止まらず…
どんな終着を迎えるのか気になって、週末に一気読みしてしまいました。

私は物語の性欲的な観点では マジョリティ側 にあたります。

しかし、どこかで社会・今の職場にうまく馴染めていない感覚もあり、登場人物である 桐生夏月・佐々木佳道に共を覚えながら、読み進めました。

佳道の視点になってからは、それまでの主人公たち (桐生夏月・検事の寺井啓喜・大学生の神戸八重子)が “他者の目線”からどう見えていたのかも浮かび上がってきて、5人がどう繋がっていくのかにも引き込まれました。


特に印象に残ったのは、夏月の「地球に留学に来ているみたい」という言葉。

別著『生殖記』で、主人公尚成しょうせいの「出稼ぎに来ている感覚」という言葉と重なります。
そしてその感情に、私も少しばかり助けられています。

私自身も、生理周期でのホルモンバランスの乱れのためか、ひどく落ち込む時があります。
(佳道のように、具体的な行動に移すわけではないけれど)
そんなグレーな感情に寄り添い、落ち込んだ気持ちを少しだけでも救ってくれるような一冊でした。


映画の感想(Netflix視聴)

あまりに小説が良かったので、どうしても映画も観たくなり…
現在サブスクも含めて断捨離中の身ですが、期間限定と自分で決めて、Netflixに加入しました。


当たり前だけれど、あの長編小説を2時間ちょっとにまとめるので、話はかなり省略されています。

はしょるためにはまずは登場人物や設定も大幅にカット…。
なるほどと、勝手に一人で納得しました。


例えば…

新垣結衣さん演じる 夏月の同級生・修の事故死していなかったり、
夏月の勤め先(イオン寝具店)の向かいの雑貨屋の副店長の人物設定が変わっていたり、
修羅場?の場面は、映画では (これでも)かなりマイルドになっていたり。(映画はもっと激しいです)

その中でも、(私のポイント的)キーワードはちゃんと出てきます。

・「地球に留学している感覚」 (夏月)

・「いなくならないから」
 (逮捕された佳道(磯村勇斗さん)と夏月、お互いがお互いに、この伝言を残します )

一方で、小説にはなかった展開も。

佳道が同級生と付き合おうと努力したり(それを夏月が回転寿司店で目撃)、
夏月と、検事の寺井啓喜(稲垣吾郎さん)が、事前に街中で出会っていたり。

そして検事が街中で出会った見知らぬ人(夏月)に、家庭の事情を話すとか、
あり得ないよな〜と、つっこみポイントも多々ありました。 

そして映画の方が密度が少ないし、話の展開が早い。
正直、小説未読の人が初見でこの映画を観て、話の流れについていき、登場人物たちの気持ち・感情を理解できるのか..?
とちょっと疑問に思うほど、展開は早いです。

小説とのギャップは大きかったです。
(映画ってそんなもんだけども)

それでも、映画の予告編は非常によくできていて、
予告をみるだけでも、本作品の余韻を何度も味わえる。

映画本編を見終わった後も、予告を何度も見返してしまいました。


小説・映画を通して感じたこと

『正欲』は、救いようのないバッドエンドでも、手放しのハッピーエンドでもない。

それでも理解しあえる人たちが出会えて、安心感を覚えました。
東野圭吾さん著書『白鳥とコウモリ』のラストに近い読後感。
(※あちらは殺人事件が絡む分、さらに重たさがありますが)

そして映画の主題歌は、Vaundyさんの『呼吸のように』。
music videoにも主演している磯村勇斗さんの表情に引き込まれ、心に刺さります。
仕事で疲れ、社会に馴染めず帰る道すがらにこの曲を聴くと、じんわりと、そっと寄り添ってくれる曲です。


最後に

読む人、観る人にとって、感じ方・受け止め方が大きく変わる作品だと思います。

誰にでもおすすめできるわけではないけれど、刺さる人には深く刺さる。

同じように(もしくはそれ以上に)不快苦しみの中いる人たちがいると思うと、少し気持ちが救われます。


そんな作品に出会えたこと、
そのきっかけを作ってくれた、別著『生殖記』にも感謝です。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
気になったからは、ぜひ 小説 & 映画 も、観てみてください。


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プロフィール

関西在住の30代OL。
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