勅使川原 真衣さんの『「能力」の生きづらさをほぐす』を読みました。
二人のお子さんを育てながら、乳がんの闘病中の 筆者・勅使川原真衣さん。
本書は「亡くなった母」と「子どもたち」との会話形式で進んでいきます。
テーマは重めですが、文章はとてもやわらかく、時に軽妙。
以前読んだ同著者の新書 (『働くということ 「能力主義」を超えて』) よりも、
個人的にはかなり読みやすく感じました。
要約
能力は「個人の資質」ではなく「環境」で揺れ動くもの
本書を通して一貫して語られているのは、
能力は固定されたものではなく、環境や関係性によっていくらでも変わるということ。
誰と、何を、どのようにやるか
――それ次第で、人の「できる/できない」は簡単に変わってしまう
この視点に、何度もハッとさせられました。
「仕事ができないのでは」と悩む息子さん。この姿に自分が重なる
作中では、息子のダイさんが
「仕事ができないと言われ、自分は発達障害なのではないか」と悩む場面が出てきます。
このくだりは、正直かなり自分と重なりました。
私は社会人1年目のころ、上司に叱られてばかりで、
ネットで調べるうちに「自分はADHDなのでは」と本気で悩んでいた時期があります。
でも今振り返ると、
能力の問題というより その職場・その人との相性が合わなかっただけだったのかも、と思えるようになりました。
葛藤はなくならない。それでも生きていく
印象的だったのが、葛藤について語られる一節です。
葛藤は死ぬまでなくならない
悶々、ぐるぐる、フツフツ、めそめそは誰でもする
しながら生を全うすればそれでいい
「葛藤をなくそう」とするのではなく、
葛藤と一緒に生きるという考え方。
このままでいいんだと、深くうなずきました。
ネガティブ・ケイパビリティとの再会
以前読んだ書籍『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 』
「答えが出ない状態に耐える力」を肯定するこの概念が、
本書にも登場して、さらに親近感を覚えました。
どうやら「ネガティブ・ケイパビリティ」の考え方は、コロナ禍で話題になっていたようです。
もがきながら生きている
そして最後に出てくるこの言葉が、とても心に残りました。
葛藤は死ぬまでなくならない
悶々、ぐるぐる、フツフツ、めそめそは誰でもする
しながら生を全うすればそれでいい
そして
もがきながらも、どうにかやっている
それが人間であり、生きるということ
職場で、働くということにおいて、「自分は能力が低いのでは」と感じることがある私にとって、
この本は、静かに背中を押してくれる一冊でした。
ひとことまとめ
本書を読んで、とても励まされました。
特に印象的だったのは、下記です。
能力は固定されたものではなく、環境や関係性によっていくらでも変わる
もがきながらも、どうにかやっている
それが人間であり、生きるということ
「できる・できない」で自分を責めてしまう人、
仕事や人間関係で自信をなくしている人に、そっとお薦めしたい本です。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
本記事がお役にたてば幸いです。
書籍紹介
タイトル:「能力」の生きづらさをほぐす
著者: 勅使川原 真衣(てしがわら まい)
価格:2,000円+税
ページ数:264ページ
発行:どく社
発行日:2022年12月21日


