変化の激しい現代、今後どんなキャリアを歩んだらいいのか…
と思うことはありませんか?
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「35歳の教科書」は教育者・著述家である藤原和博(ふじはら かずひろ)さんの著書です。
藤原さんは、東京大学卒業後にリクルートに入社。
東京統括営業部長、新規事業担当部長など歴任し、1993年からヨーロッパに駐在。
しかし30歳でメニエル病という病気に。
これまでのスーパー働きマンから生き方を変えます
そしてなんと、2003年から5年間は、杉並区立和田中学校の校長を務められました。
本書は「あなたは今の自分の人生に、満足ですか?」
という問いかけから始まります。
そして変化が激しく予測不可能な、VUCAと呼ばれる現代でも使えるエッセンスがちりばめられていました。
仕事が慣れてきた20代や30代の方。そして40代以降の方も。
「今後どんな生き方・キャリアを進めていったらいいのだろう?」といった悩みにヒントを与えてくれる本です。
ここでは備考も込めて、印象的な言葉などを抜粋、紹介していきます。
目次で気になったところから、読んでみてください!
要約
印象的な言葉などを要約・抜粋していきます。
1 総論―なぜ、人生に戦略が必要なのか?
▶︎01「みんな一緒」の時代から「それぞれ一人一人」の時代へ
組織に埋没するのではなく、自立した人生を設計し、プランニングして、オリジナリティの高い人生を歩んでほしい。
↑これが、著者藤原さんが本書で伝えたい、一番のメッセージです。
成熟社会の三つのキーワード
- 多様化
- 複雑化
- 変化
現代は予想不可能なVUCAの時代と言われますが、本書が発行された2009年当時でも、既に成熟社会で変化が激しくなっていました。
▶︎02 宗教的なものを道具として使え
藤原さんは、日本では「宗教が果たすべき役割を、他のコミュニティが受け持っている」、心の拠り所をコミュニティやブランドが担っているのでは、と話します。
みんな「それぞれ一人一人」になることは恐怖を伴い、恐怖を自分でどのようにコントロールするか、ということには技術が必要。
「宗教や宗教的なもの(コミュニティやブランドなど)を、道具として扱える感覚が必要になっている」と話します。
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またヨーロッパに駐在していた藤原さんの、以下の考えが印象的でした。
パリで暮らす人々は日常のなかにちょっとした喜びを発見し、それを楽しんでいます。
ちょっと哲学的ですが、その背景には「人は生を受け、死を迎えるまで、結局他人とは完全にわかり合うことはできない」という絶対的に孤独な人間観が横たわっていると感じました。
著者の考えるパリの人々の人間観は、
なんだか心ひかれました。
▶︎03 会社に依存するな
著者はリクルートにてばりばり働きますが、30歳でメニエル病※ を発症し、そこから生活スタイルを変えていきます。
※メニエル病は内耳の疾患で、はげしいめまいや難聴・耳鳴りに発作を繰り返します。
今になってみると、「あのままメニエル病にならずにスーパーサラリーマンを演じていたら、今の歳まで生きていられなかったかもな」と思います。
私はよく「病気はチャンス」と言っています。
自分自身の内側の声に耳を傾ける絶好の機会だからです。
現状をしっかりと受け止めて、生活スタイルを少しずつ変えていけばいいのです。
病気を前向きにとらえていて、すごいなと思いました。
2 戦略―戦略的ライフプランニングのすすめ
▶︎07 10代集中、20代夢中、30代五里霧中
30代は迷ってもいい時期だと思います。
最も大事なのは、「自分の技術とは何なのか」について自身と向き合って話してみることです。
まさに私も30代、キャリア迷子です。
「迷ってもいい」と言われると安心しました。
同時に、しっかし自分と向き合う大切さを教えてもらいました。
▶︎10 戦略的人生計画の作り方
よくあるPDCAサイクル (プラン→ドゥ→チェック→アクト) ではなく、本書では「ダダダの無限サイクル」を勧めています。
ダダダの無限サイクル
変化のスピードが速くなっている現代においては4段階をきっちり踏んでいては間に合いません。
実行したらすぐに改善し、改善案を実行したら、また改善という「DADADA」にする必要がある。
私はこれを「ダダダの無限サイクル」と呼んでいます。
「ダダダの無限サイクル」
インパクトのあるネーミングが素敵です。
3 知恵―戦略作成の基礎は、クリティカル・シンキング
▶︎13 クリティカル・シンキング(複眼思考)で物事を捉えよ
「記憶力だけでは重宝されなくなった」現代では、出題者の意図を読む力が大切。
そしてそのためには
「コメンテーターの解説に疑問を持つことから始めよう」と言います。
ニュースなども鵜呑みにせずに、批判的にもとらえるようになりたいと思いました。
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このクリティカル・シンキングについて
もしあなたが35歳であれば(実年齢がもっと上でも、35歳レベルのみずみずしい感性を持っているのならば)、まだ十分間に合います。
と、藤原さんは本書の一節で書かれています。
いくつになっても遅いことはない。
実年齢よりも、みずみずしい感性を持てているか
が大切なんですね。
4 武器―自分だけのキャリアが身を助ける
▶︎17 自分自身のリストラをせよ
【生活態度のリストラ】テレビと新聞をやめてみる
【仕事内容のリストラ】接待をやめてみる
- 「嫌われたくない」「好かれなければ」という気持ちを捨てる
- 実際に結婚式や葬式を断る。飲み会や付き合いのゴルフもやめてしまう。
- 自分が今までやってきたことを一旦、10分の1まで減らしてみる。
藤原さんはこれらが簡単ではないと理解しています、と言った上で、
自身は30歳でメニエル病になったことで、断る口実ができたと言います。
「どうかみなさんも病気を味方につけてください。
自分の病気を言い訳にして、どんどん断ればいいのです。
何かをやめることでしか、新しいことは入ってこないのですから。」
「断る勇気を持つこと。やめる勇気を奮い起こすこと。
この二つで、人生は驚くほど変わります。
今からでも決して遅くはありません。」
何かをやめることでしか、新しいことは入ってこない。
この言葉が印象的でした。
【思考のリストラ】ポジティブシンキングをやめてみる
「時にはマイナスイオンを出して相手のプラスイオンが寄ってくるよう仕掛けることは戦略として有効な手段なのです。
テレビに新聞、接待にゴルフ、そしてなんでもかんでもポジティブシンキング。
いろんなことをやめていくと、自分と世の中の県警も観えてきます。」
「リストラ」という言葉にちょっとドキッとしますが
To DOリストを作るよりも、「しないことリスト」を作る方が大切だと気づかせてくれました。
5 コミュニティ―つなげる力で仲間を増やす
▶︎23 ポイントは「動機づける技術」と「戦略的行動力」
私は人生にもレバレッジを効かせることが大切だと思います。
まずは何でも「やってみなければわからない」というスタンスでチャレンジしてみる。
試行錯誤をして「ここがツボかな」と思ったら、そこに思いっきり飛び込むのです。
現代において何が「ツボ」なのでしょうか。
それは「人」と「物語」、そして「人と人との関わり」です。
「それぞれ一人一人」になるからこそ、人とつながっていくことがレバレッジになる。
勇気をもって、未知の世界に飛び込む大切さを、実感しました。
あとがきにかえて:35歳の「学力マップ」
- 20世紀 成長社会「みんな一緒」
正解主義で生きる ジクソーパズル型 学力 - 21世紀 成熟社会「それぞれ一人一人」
修正主義で生きる レゴ型 学力
答えのない現代。
トライ&エラーで試していくことが大切なんですね。
まとめ&感想
本書は2009年に発行された本ですが、VUCAと言われる現代でも使えるようなアイデアがたくさんありました。
特に印象的だったのは以下です。
「ダダダの無限サイクル」
変化のスピードが速くなっている現代においては4段階をきっちり踏んでいては間に合いません。
実行したらすぐに改善し、改善案を実行したら、また改善という「DADADA」にする必要がある。
【仕事内容のリストラ】
「どうかみなさんも病気を味方につけてください。
自分の病気を言い訳にして、どんどん断ればいいのです。
何かをやめることでしか、新しいことは入ってこないのですから。」
「断る勇気を持つこと。やめる勇気を奮い起こすこと。
この二つで、人生は驚くほど変わります。
今からでも決して遅くはありません。」
勇気がいりますが、
何かをやめる大切さを教えてもらいました。
本記事がお役に立てば嬉しいです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
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タイトル:35歳の教科書 今から始める戦略的人生計画
著者:藤原和博(ふじはら かずひろ)