「ライオンのおやつ」の概要や感想をお探しですか?
友人からのおすすめ本です。
余命を宣告された30代の雫(しずく)。
最期は瀬戸内海の島にあるホスピス「ライオンの家」で過ごすことを選びます。
そこでは毎週日曜日、入居者のリクエストした「思い出のおやつ」がふるまわれていました。
内容を何も知らずに読みましたが、とても感動しました。
要約(ネタバレあり)
印象的な言葉をピックアップしていきます。
ネタバレを含みます…!!
人生はままならないもの。..だけど、ままならないからこそ、その障害を乗り越える楽しさもまた、味わえるのかもしれない。
:30数年生きて余命いくばくになった、雫の言葉。
私も雫と同世代なだけに、
余計に このことばが染みます。
「私が死んだらさ、ここに来て、空に向かって手を振ってもらいたいの。」
:島でワイン作りをするタヒチくんへの、雫のことば。
悲しい雰囲気にしないように雫が明るくいうほどに、その時を想像すると悲しくなりました。
「恐れることは、、何もありません。
とにかく、笑顔でいることが一番です、雫さん。
辛い時こそ、空を見上げて思いっきり笑うんです。
そうすれば、あなたよりももっと辛い思いをしている人たちの希望になれますから」
:病状が悪化している雫へ、マドンナからのことば。
そうかぁ、「もっと辛い思いをしている人たちの希望になれる」
この考えは今までなかったなぁと。
これは私も胸に留めたい言葉になりました。
百ちゃんと会うまでの私は、まだ人生が続いているのに、死ぬことばかり考えていた。
..死を受け入れるということは、生きたい、もっともっと長生きしたいという気持ちも正直に認めることなんだ、って。
:弱冠10歳ほどで亡くなる百ちゃんに雫が出会い、気づいたこと。
これも今まで思いもよらなかった考えで、ハッとさせられました。
もっと生きたいって思ってもいいんだな、と。
「でもだんだん、体があった頃が恋しくなって、あの次元に戻ってもいいかな、って思えてくるの。
辛い出来事や苦しい気持ちが、なんだか懐かしくなって。
きっとこういうのを、無い物ねだり、っていうのよね」
:死が間近にせまる雫の元に、若くして亡くなった雫の母親が訪れる。
あくまでも筆者小川糸さんの想像の死後の世界なんだけれど、この本を読んでいると、あぁ死後の世界ってこんな感じなのかなぁという気持ちになります。
それと同時に、私にもたまに訪れる苦しい気持ちも、今しか味わえない貴重な気持ちなのかも知れないと思いました。
「人生というのは、つくづく、一本のろうそくに似ていると思います。
ろうそく自身は自分で火をつけられないし、自ら火を消すこともできません。
一度火が灯ったら、自然の流れに逆らわず、燃え尽きて消えるのを待つしかないんです。」
:亡くなった雫へ、ライオンの家のマドンナからのことば。
マドンナのこの言葉も、スッと自分の中に入って来ました。
そう、流れに逆らわずに、ただ今を一生懸命生きるのみ、なんだなと。
「元気でなー」「ありがとう!」..声の限りに叫んだ。
すると、いきなりマフラーが風邪に飛ばされた。
まるで、マフラー自体が踊っているみたいだった。
…もう一度首にしっかりと巻き付けたマフラーからは、確かに雫さんの匂いがした。
:物語のラスト、雫が亡くなった三日目、雫の願い通り、タヒチくんと犬の六花が、
空に向かって手を振る。
ラストも他の場面と違わず涙腺が緩みます。
二人(正確には一人と一匹)が雫にお別れをするシーン。
これを書いている時も、またそのシーンを想像して目頭が熱くなってしまいます。
まとめ&感想
「ただの小説と思うなかれ…」と、読み始める前の自分に言いたいです。
前情報なしで、特に期待せずに読みましたが…
想像以上に感動しました。
しばらく小説を離れてビジネス本や啓発本ばかり読んでいたけれど
この小説を読んで生きること、死ぬことについて、とても考えさせられました。
実は初めて小川糸さんの作品を読みましたが、とても温かい気持ちになれました。
そして涙もろい方にとっては、随所に涙腺緩みポイントが散らばっているので、家でひっそりと読むことをおススメします。
私にとっては、かなり泣ける小説でした。
私も主人公の雫とほぼ同じ年なだけに、より一層雫に感情移入して読みました。
本書は人生の節目などに定期的に読み返して、大切にしたい本になりました。
書籍紹介
著者:小川 糸 (おがわ いと)
1973年生まれ。2008年「食堂かたつむり」でデビュー。
以降数多くの作品が多言語に翻訳され、様々な国で出版されている。
著書に「つるかめ助産師」「ツバキ文具店」「キラキラ共和国」など。
発行:株式会社ポプラ社
発行日:2019年10月7日
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