僧侶である 草薙 龍瞬さん の著書
『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていく ブッダの超・合理的な「考え方」』
感情のアップダウンが激しかった時期に、習っている太極拳教室の友人から勧められて、手に取った一冊です。
読んでみると実は、過去のある経験 (後述します)から、すでに知っていた内容もありました。
しかし同時に、知っているだけで実践できていなかったり、すっかり忘れていたことに気づくことに。

自分の心の棚卸しをさせてもらったような本でした。
要約として、特に印象的だった点、心に留めたい一節をピックアップしていきます。
要約
第1章|反応する前に「まず、理解する」
仕事・人間関係の悩みの「正体」って?
仏教の世界では、「苦しみの原因は “執着” にある」とよく語られます。
“執着”を手放す修行法ーー世間では「座禅」とか「ヴィパッサナー瞑想」と呼ばれていますーーを振り返ってみると、もう少し「深い原因」が見えてきます。
悩ましい現実を作り出しているのは、”心の反応” であることが、明らかになってくる。

前述した私の過去のある経験とは、
まさにこのヴィパッサナー瞑想。
10年以上前の学生時代、私は休学してアジアを数ヶ月間、旅していました。最後の放浪地はインド。
リシュケシュというヨガの聖地でヨガのレッスンを2週間受けていた際にヴィパッサナー瞑想の存在を知ります。帰国間近でしたが、帰国を2週間延期して、10日間のヴィパッサナー瞑想プログラムへ参加することに。
本書で出てくる”執着”についても、10日間のヴィパッサナー瞑想でならったはず。
しかしそんなことはすっかり忘れてしまっていましたが…。
本書を読んで、あの10日間の修行で習ったことが、だんだんと思い出されてきました。
第2章|良し悪しを「判断」しない
◆原始仏典のエピソード
ある王国の象と盲目の人の話。
盲目の人 それぞれが象の鼻・足・しっぽを触り、各々違うことを言う様子を見て、国王は笑います。
人間というのは、一部しかみていないにもかかわらず、
すべてを理解した気になって、「自分は正しい」と思い込んでいる
実はこの話、本書を読む1週間前に、私が勉強している中国語(HSK)のテキストでも登場。
また、最近興味のあるヨガ哲学の学びの中でも紹介されており、1週間のうちに、同じ話を違う場所で3回も聞くこに。

あれ?また同じ話が出てきた..!
と、偶然に驚きました。
そして国や文化を越えて語り継がれているこの話の深さに、あらためて心が留まります。
◆「自由な心を取り戻す」エクササイズ
①一歩、一歩と外を歩く
②広い世界を見渡す
③「わたしはわたしを肯定する」
この章では特に、「わたしはわたしを肯定する」が印象的でした。
自分で自分を否定してしまったら、誰が肯定してあげられるのか…

「わたしはわたしを肯定する。」
つぶやいた時に、思わず胸が詰まりました。
第3章|マイナスの感情で「損しない」
◆反応しないことが、「最高の勝利」
仏教における勝利とは、相手に勝つことではありません。
「相手に反応して心を失わない」ことを意味するのです。
この「反応」に関しても、私がインドで体験したヴィパッサナー瞑想の教えの中で、頻繁に出てきました。
『自分の感覚をただただ観察する。』
『辛さ、怒り、足がしびれて痛い…何か感情がわき上がっても、反応せずに、観察する。』
そんなことを、常に教えてもらい、毎日何時間も瞑想をしていました。
◆相手はいつでも「初めて会った人」

これは特に、刺さりました。
「記憶は記憶。思い出しても反応しない」
ーーこれは、仏教を学んで得られる最高の智慧かもしれません。
もう一つ、相手を向き合うときの智慧があります。
それは、相手を「新しい人」と考えるということです。
仏教では、人も心も”無常” ーーうつろいゆくものーー ととらえます。
「過去にあんなことをした、こんなことを言われた相手」
というのは、こちらの「執着」。
本当は、「まったく新しい人として向き合う」ことだって、選べるのです。

私もまさに、過去に囚われていました。
「以前に嫌な思いをさせられた」をいう過去の出来事をいつまでも引きずっています。
しかしこの章を読んで、はっとしました。
私にも、「苦手だな…」と思う人がいます。
仲良しになりたいわけではないですが、険悪な仲でいたいわけでもないのです。
本書を読んで、実際にその人と接する際に、『新しい人』と会う気持ちを持って、近くまで行って挨拶してみました。(普段は遠巻きに、さらっと挨拶するだけ)
そしてまた、必須ではないですが、その人に『初めて会う人』という意識を持って、話しかけてみました。
最初はその人も、「なんか話しかけてきたな」というような表情でしたが、
なんと翌日は、その人から、挨拶をしてくれたのでした。

「相手はいつでも「初めて会った人」の効果をまさに実感しました。
第4章|他人の目から「自由になる」
◆確かめようのないことは放っておく
「妄想には確かめるすべはない」
ただ大切なのは、自分自身の人生の「目的」をはっきりさせること。
私もよく、「あの人に嫌われているかも…」と妄想していました。
でも大切なのは 妄想することではなく、 人生の目的を明確にすること。
第5章|「正しく」競争する
◆”五つの妨げ” に気をつける
①快楽に流される心、
②怒り
③やる気の出ない心
④そわそわと落ち着かない心、
そして、
⑤疑い
◆「正しい努力 ー 五つの妨げ」=人生
…本人の「妄想」の中にのみ、「もっとできるはずの自分」が存在するのです。
でも、そうした妄想に執着しても、自分が惨めになって苦しいだけですよね。
いつも「等身大の自分」があります。
その自分を、ありのままの、否定しようのない自分として受け入れることが正解なのです。人生は、つねに「ここからスタート」です。
「ここからスタート」
いつからでも遅いことはない、
そう励ましてもらえた気がしました。
最終章|考える「基準」を持つ
ブッダは、外の世界に答えはないと言います。
自分自身の心の闇、苦悩は、最後は自分自身で乗り越えていくしかない。
自分自身の心の内側に、奥底に、正しい生き方、よりどころを、確立しなければいけない。
◆自分の人生を「信頼する」
人の心は、外の現実に支配されない”幸せの聖域”です。
あとは、その心にどんな”思い”を置くかだけーーここから育てていきましょう。
「最高の納得」に辿り着くために。
生きてまいりましょう。

最後の「生きてまいりましょう。」に思わずじーんとします。
そっとやさしく、手を差し伸ばされているようでした。
まとめ
「知ってるつもり」になっていたけれど、忘れていたこと。
日々の中で流されてしまっていた大切な感覚。
そんなものを思い出させてくれる、やさしくも芯のある一冊です。
私がインドで体験したヴィパッサナー瞑想で教わった「湧き上がる感情に反応せずに、ただただ観察する」ということを、思い出させてもくれました。
特に心に留めたいのは、以下の二つです。
「わたしはわたしを肯定する」
「相手はいつでも「初めて会った人」」
感情に振り回されそうになったときに、また読み返したい。
「反応しない」という選択肢を、静かに教えてくれる本です。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
本記事がお役に立てば嬉しいです。
そして…

「反応しない練習」
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「反応しない練習」も聴けるので、良ければ試してみてください。
書籍紹介
タイトル:反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
: あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
著者: 草薙龍瞬 (くさなぎ・りゅうしゅん)
価格:1,300円+税
ページ数:224ページ
発行:株式会社KADOKAWA
発売日:2015年7月31日