【読書レビュー】「コーチングよりも大切な カウンセリングの技術」職場やちょっとした悩みに使える!

読書:実用書

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最近悩み事はありますか?

近頃よく聞く「コーチング」という言葉。

もともと心理学などに興味があったので、コーチングについて初心者にも分かりやすそうな本を探していたところ

「コーチングより大切な」という言葉が気になり、本書を読んでみました。

本書を読めばコーチングとカウンセリング、そしてティーチングとの違いが分かります。

またカウンセリングは精神的に病んでしまった人に対して行われる印象があったのですが、そうではなく職場など日常的にも使えることがわかりました。

前半はマンガが多く、初心者にも分かりやすく書かれています。

本書を読んで気になった点を、抜粋・要約しています。

目次で気になったところから、読んでみてください!

本書の目次

第1章 カウンセリングが引き起こした五つのミラクル

第2章 職場で使える三つの技術 カウンセリング、コーチング、ティーチング

第3章 カウンセリングに何が起きているのか

第4章 今すぐ使えるカウンセリングの技術

第5章 職場でカウンセリングを活かす具体策

要約

印象的な言葉を抜粋、紹介していきます。

第1章 カウンセリングが引き起こした五つのミラクル

▶︎カウンセリングが先、コーチング、ティーチングは後。

解決策を指示するのがティーチング、
解決策を部下や後輩に考えさせるよう質問するのがコーチング、
解決策を考えることはいったん脇に置いて、じっくり、たっぷりと需要・共感するのがカウンセリング。

最初にすべきはカウンセリング。
・ネガティブな事柄や感情も受容・共感する
・悩みが消える、解決策が浮かぶ



▶︎所属が満たされないと、争いが起こり問題は解決しなくなる。

人間性心理学の源流と呼ばれるアドラー心理学では、人間が持つ究極目標社会への「所属」であると考えます。

私も会社・習い事などのグループに所属して、社会との関わりがあることで、安心感を得られている気がします。


▶︎思考、感情、行動、身体反応はビリーフが決める

「認知療法パラダイム」
私たちの悩みのもとである感情(情動)や行動、身体反応はできごとや刺激(上司に叱られた、など)が作り出すのではなく、それをどのように捉えるかという認知(叱られたら人生終わりだ、など)が引き起こす、という考え方です。


・信念・価値観に触れると気づきが起きる
・気づきを統合すると全人格的な成長が起きる

 すると、これまで人生の中で何度も繰り返されてきた問題や失敗が少しずつ起きなくなります。

起こったことではなく、それをどう捉えるか。

人はみんな、「考え方のくせ」があると聞いたことがあります。


第2章 職場で使える三つの技術 カウンセリング、コーチング、ティーチング


▶︎カウンセリング、コーチング、ティーチング:三つの違いは何か

カウンセリングは精神的に病んでしまった人が受けるもの、という印象がありました。

しかし本書では、そうではないと言います。

一般的にカウンセリングは、精神疾患もしくは神経症(比較的軽度な生活のしづらさにつながる症状がある人)に対する治療と捉えられていますが、それは主にセラピー(心理療法)および投薬治療の領域であり、大いなる誤解です。

欧米では、ちょっと「気分が優れない」「気になることがある」「イライラする」など、健常者の誰もが感じる、ちょっとしたマイナスな気分をきっかけにカウンセリングを受ける人が多いのです。


▶︎それぞれの目的、ゴールは?

  • カウンセリング「全人格的な成長」
    相手が認めたくない、気づいてもいない感情や価値観を表に出し、なおかつそれを受容、肯定していく。
    それは自分の知らなかった本当の自分との出会いと統合。まさに全人格的な成長。
  • コーチング「目標達成」
    相手が「達成したいと思う目標(多少曖昧でもいい)を持っていて」「それを解決するエネルギーがある」ことが前提。
    その二つがなければ、スタートはコーチングではなくカウンセリングから始めると良い。
  • ティーチング「知識、技術の伝達」
    対象は問わず効果的、効率的な伝達に意識を集中させ教える。

コーチングは「達成したい目標」があるのが前提、なんですね。


第3章 カウンセリングに何が起きているのか

カウンセリングにはすべてに共通する技法は存在しないが、大まかな原則はあるようだ、という著者。

その基本原則と、筆者が学び続けている心理学の四大パラダイム                   ※ の一つである「人間性心理学」のいくつかが紹介されています。

※心理学の四大パラダイム
(1)精神分析パラダイム
(2)学習理論パラダイム
(3)人間性心理学パラダイム
(4)認知理論パラダイム

1. すべてに共通する「バイスティックの七原則」 
:フェリスティックス・バイスティック

  1. 個別化原則
  2. 意図的な感情表出の原則
    カウンセラーは相手が感情を表に出しても大丈夫だ、と感じるような安心安全な環境を作る。
  3. 統制された情緒的関与の原則
    一方でカウンセラーは相手の感情に共感しつも節度を保たなければならない。
  4. 受容原則
  5. 非審判的態度の原則
  6. 自己決定原則
  7. 守秘原則


2. ただ聴くだけで変化が起きる「クライエント中心療法」
:カール・ロジャーズ

ロジャーズは、人は本来成長していく力を持っており、それを支援するための環境を作ることが重要である、と考えた。

そして以下3つが特に重要とする。

  1. 無条件の肯定的配慮
  2. 共感的理解
    「クライエントの私的世界を自分自身の私的世界であるかのように感じること」。
    「相手のブーツを履く」と比喩している。
  3. 自己一致
    自己一致している状態とは利用(自己概念)よりも現実(実際の体験)を重視して受け止める力。
    自分に嘘をついていない状態。


3. 言葉にならない「何か」がわかるah!ha!体験「フォーカシング指向心理療法」
:ユージン・ジェンドリン

フェルトセンスと呼ばれる「言葉にならない身体の感覚」に意識の焦点(フォーカス)をあて、それをしっくりくる言葉で表現することで、意味を感じていくというプロセスを歩む。


4. 未完了が完了することで地が図へと浮かんでくる「ゲシュタルト療法」
:フレデリック・パールズ

ゲシュタルト療法では、私たちが日常生活の中で、ルビンの杯        ※1 全体(杯と人の顔の両方)ではなく、どちらか片方(図)にばかり意識を傾け、他(地)の存在を無視してしまっているために気づきが起きない、と考えます。

※1:ルビンの杯

そこでゲシュタルト療法では、地に沈み込み、意識されなくなっている無意識下の気掛かりを呼吸や表情、手足の動き、声色などから感じ取り、図に浮かび上がらせ、今ここで十分に感じきること(未完了の完了)で、図と地の反転、すなわち気づきを起こすプロセスを行います。


5. あらゆる行動や感情には目的があり、究極目標は所属である「アドラー心理学カウンセリング」
:アルフレッド・アドラー

アドラーの目的論:あらゆる行動や感情には、「原因」ではなく「目的」がある。

究極目標:アドラーはあらゆる目的にはさらに上位の目的が階層的に存在に、その頂点には全人類に共通する目的がある。
それは「社会への所属(Belonging)」社会の中の居場所があると実感し安心していられること

私たちが職場で行なっている活動のほとんどは大脳新皮質により行われる。


つまり、職場で高い業績を上げ、生産性を高めるためには、大脳新皮質の活動の前提となる大脳辺縁系を穏やかにゆるめる必要がある。

それこそが、対人関係での安心安全であり、それはアドラー心理学でいう所属である。

そしてハーバードビジネススクール教授のエイミー・エドモンドソンが提唱し、Google社で目標とされている「心理的安全性」の確立である。


第4章 今すぐ使えるカウンセリングの技術

▶︎カウンセリング型コミュニケーションの全体ステップ

  1. 壁になる
    意見を加えずそのまま返す
  2. エピソードを聞く
    要約ではなく瞬間を再現する
  3. (感情に)共感する
    あなたの感情と私の感情が握手する
  4. (信念・価値観に)共感する
    より深いレベルでわかり合う

(5. 解決を提案する ) I(アイ)メッセージを入れる

 ※5はあくまでもおまけであり、1~4で終わってもいい。

 相手から具体的な助言を求められたら行う。

  1. 「壁になる」で用いる技術は以下4つ。

    1. 相づち
    2. オウム返し
    3. 述語的会話
    4. 理解の確認

「壁になる」では、できるだけ質問すらせずに、相手の脳内を探索するイメージで聴き続けるんだそうです。


第5章 職場でカウンセリングを活かす具体策

▶︎WHYーーー「なぜ」カウンセリング型コミュニケーションなのか?

(著者の考える)NLPの限界:「目標達成がゴールになっていること」

一方で、カウンセリングのゴールは目標達成「以外」にあります。
それは気づきです。
しかも問題解決法への気づきではなく、自分自身の再発見、自己実現です。

…気づきが「全人格的な成長」を生みます。
目先の課題解決を一つひとつもぐら叩きするのではなく、問題や悩みを引き起こす根本にアプローチすることで、問題や悩みが起こらなくなるのです。
そこにカウンセリングの意義があると私は思います。

もちろん、効用の限界はカウンセリングにもあります。
だからこそ、コーチング、NLP、ティーチングなど、それぞれを否定するのではなく、相互補完的に場面に応じて使い分け、相乗効果を発揮していただきたいです。


先行きが不透明なVUCAな時代だからこそ、試行錯誤し、失敗し、修正することが大切です。
これは1950年代にエドワーズ・デミング博士らにより日本に持ち込まれたPDCAサイクルをもとに行うことが可能。


▶︎HOWどのように?

時間がないからできないという人間は時間があってもやらない人間である。

「金がないからできない、という人間は、かねがあってもやらない人間である」
ー阪急電鉄創業者の小林一三氏

この「金」という言葉を「時間」や「人」と置き換えてもそのまま通用すると思う。


・相手を変えようとしない、自分を変える
「過去と他人を変えることはできない。しかし、未来と自分を変えることはできる」
ーーー人間性心理学を代表する心理療法である交流分析を提唱したエリック・バーン

カウンセリング型コミュニケーションは目先の問題解決をしない代わりに、根本的な問題の根っこを変革する大きな解決を行います

相手を変えようとするのではなく、相手が自分に「還る」お手伝いをする。
そのために、私たち自身がコミュニケーションを変えていく。

「目先の問題解決をしない代わりに、根本的な問題の根っこを変革する大きな解決を行う
という言葉が印象的です。


まとめ&感想

本書を読んで、カウンセリング・コーチング・ティーチングの違いがよくわかりました。

  • カウンセリング「全人格的な成長」
  • コーチング「目標達成」
  • ティーチング「知識、技術の伝達」


またカウンセリングは、精神疾患を抱えた人向けに行うだけでなく、日常的に「ちょっとしたマイナスな気分」にも使えることがわかりました。

▶︎カウンセリング型コミュニケーションの全体ステップ

  1. 壁になる
  2. エピソードを聞く
  3. (感情に)共感する
  4. (信念・価値観に)共感する

 (5. 解決を提案する )


そして
「先行きが不透明なVUCAな時代だからこそ、試行錯誤し、失敗し、修正することが大切」

「カウンセリング型コミュニケーションは目先の問題解決をしない代わりに、根本的な問題の根っこを変革する大きな解決を行います。」

という言葉がとても印象的でした。

友人などに悩みを相談された時は、何か解決策を言うのではなく、まず「壁になる」ことを意識して、話を聞こうと思います。

***

本記事がお役に立てば嬉しいです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

#読書レビュー  :2023/12/27

書籍紹介

タイトル:コーチングよりも大切なカウンセリングの技術

著者: 小倉 広(おぐら・ひろし)

価格:1,600円+税
ページ数:223ページ

発行:日経BPマーケティング
発行日:2021年8月20日



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