漠然と「センス良くなりたい」と思っていた。
そんな時に出会ったのが本書。
(自分のやりたいこと100リストにも「センスが良くなる」を一つの目標に挙げているが、いまだに未達成でリスト居残り組。)
本書は各項目が1〜3ページほどなので、気になったところだけ読むだけでも十分楽しめると思う。
文章の至るところに、松浦さんのセンスがきらりと光っている。
読むだけで、きっと以前の自分よりもセンスが良くなれる。
本書のもくじ
1 センスのいい人とは、どんな人ですか?
2 センスを磨くアイデア
3 センスのお手本
要約
印象的な言葉をピックアップ。
▶︎身ぎれいに、気持ちよく、清潔に
「センスのいいひとをめざすなら、おしゃれになろうとするにではなく、好印象をもってもらうために清潔な人になろうとするほうがいいと言えるでしょう。
では冬のおしゃれは…
高級なコードとカシミアのマフラーではなくて、
寒くても背筋を伸ばしてさっそうと歩くことというのが正解です。」
*「寒くても背筋を伸ばしてさっそうと歩く」
これはすぐさま実践したい。
なんだかこの文章に惹かれるし、とてつもないセンスを感じる。
それ以上の言葉がでない。
▶︎あいさつ上手になる
「あいさつはとても大事なものですが、センスのいい人はあいさつがとびきり上手です。
まず、そういう人はいろんなあいさつの仕方を知っています。
…だから名前を添えるというのも、簡単にできて、上手なあいさつの仕方なのです。」
*自分の名前って、各々が一番好きな言葉なんだとか。
確かに「ねえ」って言われるより「〇〇さん」って話しかけられた方が嬉しくなるな。
▶︎自分の好みでないもののなかにもいいものがある
「当然でのことですが、興味がないもの、好みでないものは、世の中にたくさんあります。
大切なのは、それらに対する態度です。
…積極的になれとは言いませんから、せめて「なんだろう」と思う気持ちとか、ひとつくらいいいところを探すような気持ちを持って接するように心がけたいものです。」
*うむむ、痛いところを突かれたというか、まさにそうだよなぁ。
自分が普段食べないようなもの、行かない場所、聴かない音楽。
食わず嫌いをせずに、まずは一口、食べてみようと思う。
▶︎ものには必ず支点がある
「(ノートパソコンを持つのに、真ん中では不安定だが、角を持つととても安定した。)
そのとき僕は、はっと気づいたのです。
物事はすべて、こういうことなんだ、と。
要するに、「エッジをつかむ」ということの大切さです。
…同じ仕事でもその仕事の面を持つのではなく、角にあたるところを持つ。」
*うーん、これはなんというか、初めて出会う概念というか。
私は仕事で、面ばかり持っているのかな、と漠然と思う。
では角を持つとはいったい…?
これはしばらく向き合っていく必要がありそうな提案の一つ。
▶︎嫌なことや批判をされたら?
「批判や中傷の手紙は、日常茶飯事です。
けれども、批判は自分が成長、前進している証拠だと思っています。
批判とは、要するに、向かい風でしょう。
…前に向かっている証拠。逆に、風が吹かないというのがいちばん嫌なことです。」
*なんて前向きな考え方。私は普段あまり批判をされない方なので、少しされるととても落ち込んでしまったり。
でも松浦さんの言う通り、風が吹かないのは、波風立てずに、前に進んでいないことなのかも。
両親はいちばんの手本
「こんないい教師はいません。
目の前で人生というものを教えてくれているのですから、本当に学ばせてくれます。
…歳をとると、こんなふうにみじめになるし、
こんなふうに心や姿が醜くもなって、けっしてきれいごとでは済みません。
でも歳をとるということは、こういうことなのだな、と父を見ていて僕はよく思います。」
*歳をとるのは、誰もが避けられないこと。
私も両親に会うたびに、歳を重ねて小さくなっていくような感じがする。
でもあと何回会えるか分からないし、会ってるときくらいは、ケンカや険悪にならずに過ごしたい。
でもそれだけじゃなくて今後は、「こういうところはいいな」、「こうはならないように気を付けよう」っていう視点も加えたいと思う。
▶︎日々の変化を受け容れ、ゆっくりと
「結局、センスのよさとは、生きていくことのすべてなのです。」
「…それは一歩進んで二歩下がるというイメージでしょうか。
…それでも前進しているわけですから、それでいいのです。
人生そんなにうまいこと行かないものですから。」
*この本で言いたいことが、上記ですべて言い表されている感じがした。
成功しているようにみえる松浦さんでも、そのように思うのだな。
人生は上手くいく方がいいけど、それ前提でいると、上手くいっていない時がとても苦しくなりそう。
上手くいかないのがデフォルトで通常だと思えば苦しさもまぎれるかもしれないし、上手くいったときの喜びが二倍、三倍になる気がする。
▶︎人生は予測のつかない化学反応
「なかなかないチャンスが自分のもとにめぐって来たときは、絶対にそれを逃さないようにしなければなりません。
そのために、日頃から即答力を高めておくことも大切でしょう。
…そして、自分のもとにめぐってきた幸運は、他の人にも受け渡していくことです。
…さらに、何度も繰り返しますが、失敗をいっぱいすることです。
失敗は最良の起爆剤になりますから。」
*仕事をしていても、これはあまり乗り気がしないなぁとか、自分に向いてなさそうだなぁ、ということが多々ある。
でもそれをやってみて、本当に向いてなかったら、それが分かっただけでも占めたものだし。
ひょっとしたら案外向いてたりして、新たな自分が発見できるかもしれない。
まとめ
「センスのよさとは、生きていくことのすべてなのです
…それでいいのです。人生そんなにうまいこと行かないものですから。」
この文章の最後の言葉になんだかほっとした。
今のままの自分でいいんだよ、と肯定してもらえた気持ちに。
松浦さんのアイデアを少し分けてもらい、
本書を読んだだけでも、一割増でセンスが良くなった気がした。
読書レビュー:2023/2/3
書籍紹介
著者:松浦弥太郎(まつうら・やたろう)
1965年、東京生まれ。
文筆家、書店店主。「暮しの手帳」前編集長、COW BOOKS代表、
cookpadの新サービス「くらしのきほん」編集長。
発行:株式会社筑摩書房
発行日:2023年2月25日