中々治らないアトピーや、乾燥・肌荒れなどに悩んでいませんか?
私は子どものころからアトピー持ちです。
大人になって少し落ち着いてきましたが、結婚や引越しなど生活に変化があったからか、また悪化してきました。
今まではひじやひざの裏、首が少し荒れていた程度でしたが、全身、特に背中などが痒くなって、仕事も集中できず、寝ていても痒くて熟睡できないことが半年ほど続きました。
このままではいけない。ちゃんとアトピーについて調べてみようと思い、本書「世界最高のエビデンスでやさしく伝える 最新医学で一番正しい アトピーの治し方」にたどり着きました。
本書を読んで、私がメモしておきたい内容を、備忘録も込めて、抜粋・記載していきます。
本書の目次
序章 皮膚科医がずっと言えなかったこと
第1章 間違ったアトピー治療法を見分ける方法
第2章 誰も教えてくれなかった「アトピーの正体」
第3章 民間療法をエビデンスで検証する
第4章 最新医学で一番正しい治し方とステロイドのウソ・ホント
第5章 その他の治療法と新薬について
第6章 かゆみを抑える方法と生活習慣
終章 アトピー医療のこれから
要約
はじめに
本書のタイトルに「世界最高のエビデンス」などわざわざ載せた理由:
医療従事者以外の、一般のアトピー患者さんが触れる情報は、「正しい情報」と同じくらい「正しくない」情報に溢れているから。
ほんとうに。
ネットでアトピー改善方法を調べても、いろんな情報がありすぎて。
どれが正しいか分からないんですよね。。
第2章 誰も教えてくれなかった「アトピーの正体」
「アトピー」は、その病名が「奇妙な」という意味のギリシャ語atopiaに由来しているほど正体がわかりにくい。
ギリシャ語で「奇妙な」という意味はアトピーの語源だったとは…!
30年以上アトピーと付き合ってましたが、初耳です。
アトピーを引き起こす「3つの原因」
①乾燥肌(ドライスキン)
②免疫システムの異常
③かゆみ
の3つが絡み合って、発症したり悪化したりすると考えられている。
金属アレルギーとアトピーの関係
アトピーは外因性と内因性の2つのタイプに分かれる。
外因性のアトピーはアトピー全体の80%を占めるドライスキンが代表。
アレルギー検査でよくみる「IgE」の値が高いことが多い。
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それにくらべ内因性のアトピーは、ドライスキンがあまり目立たず、IgEが正常値かそれほど高くないことが多い。
そして背景に金属アレルギーが隠れていることがある。
金属アレルギーは、食事に含まれる金属にも注意が必要。
内因性のアトピー患者は外因性のアトピー患者に比べて、ニッケルやコバルトに対するアレルギーが多いという報告もある。
ニッケルは豆類、そしてチョコレートに多く含まれる。
クロムもチョコレートやチーム類に多く含まれる。
つまり、「食事指導や生活改善でアトピーが良くなった」という声の中には、「金属アレルギーの原因を取り除くことができた患者さん」が含まれている可能性がある。
アトピーは外因性と内因性に分かれるんですね。
私はドライスキンなので、外因性だと思います。
第4章 最新医学で一番正しい治し方とステロイドのウソ・ホント
主治医を信じられなくなった時のマジックワード
ぼくの見聞きする範囲では、大多数の医者は信用してよいと思う。
それでも自分の主治医が信じられなくなったとき、つかってほしいマジックワードがある。
それは「わたしの病気の標準治療はなんですか?」と聞くこと。
医者の説明する標準治療が、今自分の行っている治療と異なる場合がある。
その場合は、「先生が先ほど説明した標準治療と違う治療をしていますが、どうしてですか?」
と理由を聞くのがよい。
そのとき、標準治療を完全に否定する医者はやめたほうがよい。
皮膚科のお医者さんだからといって、お医者さん全員がアトピーに詳しい訳ではないそう。
(そりゃそうですね。)
完璧に信じずに、自分でも勉強してくことが大事ですね。
ステロイド外用剤「強さのランク」
強さのランクが5段階に分かれている。
ステロイド外用剤は、体の塗る部位と湿疹のひどさによって使い分ける。
ステロイドの「正しい用量」
正しい用量を示すための概念:「FTU(フィンガー・チップ・ユニット)」
*大人の人差し指の一番先から第一関節に乗る量(約0.5G)を指し、この量で「手のひら2枚の範囲」に軟膏を塗るのが適量とされている。
もしくはもっと簡単な方法もある。
「軟膏を塗った部分にティッシュペーパーを1枚貼り付け、落ちないくらいの量を塗ればよい。」
というもの。
この概念が出来たのは、患者さんが意外と、少量しかステロイドを塗っていなかったから。
標準治療であるステロイド治療を選んでいる患者さんでも、多くの人がおっかなびっくりで塗っている。
しかし十分な量を、十分な期間塗らずにいると、結果としてダラダラと治らずに副作用だけが目立つことになりかねない。
子どものころの古い情報で、私もステロイドってちょっと怖いと思っていました。
なので出来るだけ使わないようにしていました。
でもステロイドはアトピーの「一般的な治療方」で、私が思うよりもたっぷり塗る必要があることが、わかりました。
ステロイドを塗る期間と「プロアクティブ療法」
「リアクティブ療法」とは、アトピーの状態に反応してステロイドを塗る、いわゆる「対処療法」です。
一方の「プロアクティブ療法」では、次のような経過をとると言います。
「プロアクティブ療法」
- アトピーが悪化したら、強いステロイドを塗って一気にしっかり押さえる
- 1~2週間、毎日しっかり塗る。かゆくなくなっても塗ることをやめない。
- その後、1日おきに感覚を空けて1~2週間塗る。
- さらに1週間に1,2回に間隔を空けて1~2週間塗る。確実に治ったところでステロイドをやめる。
- ステロイドを塗らない期間はしっかりと保湿する。保湿を続けることで、アトピーの再燃を抑えることが可能になる。
このようにFTUとプロアクティブ療法を組み合わせて治療し、徐々にステロイドを減らして、最終的には保湿剤のみでアトピーが起きなくなるようにするのが、ステロイドを使用した標準治療の王道ステップ。
私は今まで完全に「リアクティブ療法」をとっていましたね。。
悪くなってから、慌てて保湿したり。
でも本当は、予防の観点である「プロアクティブ療法」が大切と知りました。
妊婦や授乳婦もステロイドを使っていいの?
アトピー患者の妊婦さんは、半数以上が妊娠中に悪化するとの報告がある。
妊娠していても、医者の指導のもとで、ステロイドは塗った方がよいと考える。
お腹の赤ちゃんへの影響について、妊婦さんはステロイドの強さはstrongクラスに抑えて、量も多くなりすぎないように使うのが良いと思う。(strongest, very strong クラスは避ける)
授乳婦さんの場合、ステロイドを体に塗って母乳として出てくる量はほとんど無視して良い。
ただ乳首に強いステロイドを塗ると赤ちゃんが直接なめてしまうことになるので、そこだけは注意。
その他の箇所は「しっかり、たっぷり、こすらないように塗る」で問題ない。
ステロイドの正しい「保管方法」
「日陰の涼しい場所」が良い。
また軟膏は素手で触るとばい菌が繁殖する。
一般的に処方される軟膏ツボに直接指を入れずに、スプーンやスパチュラで軟膏をすくって使うことが推奨されている。
今まで完全に、ステロイドの入ったケースに手を突っ込んで、塗っていました。
雑菌が沸いてしまっていたんですね。。
これからはスプーンを使います!
第6章 かゆみを抑える方法と生活習慣
「保湿」はアトピーの「予防」にも「治療」にも有効。
保湿をすることでアトピーを予防できる。
赤ちゃんに毎日保湿乳液を1日1回塗ることで、アトピーの発症率は下がる。
生まれた時から保湿を続ければ、アトピーは予防できる可能性が高い。
・かゆみを抑えるベストな方法は「冷やす」こと。
・どうか「かいちゃダメ!」と言わないで
例えばアトピーのお子さんへ。
かいちゃいけないのは分かっているので、他の癖に置き換えることを考える。
ここの部分が、私には救いの部分でした。
子どもが欲しい気持ちもあるけど、
遺伝して私と同じ苦しい気持ちを味わってほしくない!
という気持ちが大きかったので。。
まとめ&感想
本書を読んで、今まで30年以上、アトピーのことを全く分かっていなかったなと気付かされました。
そして「ステロイドで治すことがアトピーの基本的な治療方法」ということが分かりました。
またみんな怖がってステロイドを少ししか使わないが、たっぷりと塗ることが必要。
その目安は、塗った所にティッシュをおいたら張り付くくらい。
それと同時に、保湿もとても重要なこともわかりました。
諦めずにステロイドを使ってしっかりと直し、保湿していこうと思います。
少しでもみなさんのお役に立てば幸いです。
アトピー関連で別書の読書レビューも書いています。
良かったら読んでみてください。
それではここまで読んでくださり、ありがとうございました。
書籍紹介
タイトル:
著書:大塚篤司[オオツカアツシ]
1976年千葉県生まれ。医師、医学博士。皮膚科専門医。京都大学医学部特定准教授。がん治療認定医。日本アレルギー学会代議員。
初版発行: 2020年