朝井リョウさんの『死にがいをもとめて生きているの』を読みました。
朝井リョウさんの作品は、まだ数冊目ですが、読むたびに やはり面白い…。
本作はなかなか分厚い一冊ですが、ページをめくる手が止まらず、気づけば夜更かしして一気に読み切ってしまいました。(翌日は寝不足で、仕事が手につきませんでした…)
本書は 朝井さんが得意とするように(?)、ある二人の人物を取り巻く、周りの人からの目線で物語が語られます。
そして最後は、メインの一人である 智也 の目線から語られます。
特に気になったのは、最後でどう繋がるのか、彼は何を思っていたのか。
その答えを知りたくて、最後まで引き込まれました。
感想や思ったことを、若干のネタバレとともに、つらつらと綴っていきます。
「生きがい」ではなく「死にがい」という言葉
まず心を惹かれたのは、やはりタイトルです。
「生きがい」ではなく「死にがい」。
生理やPMDDの影響もあり、時折「消えてしまいたい」と感じることがある身として、この言葉には強く引き寄せられました。
智也と雄介、そして「抗うこと」
本作は、幼なじみである 智也と雄介 二人の内面よりも、彼らを取り巻く周囲の視点をメインに、描かれます。
だからこそ、「智也は何を思っているのだろう」と考えながら読み進めることになり、その点も一気読みしてしまった理由の一つでした。
「生きていく以上、誰しも煩わしさから逃れることはできず、結局は生きていくしかない。」
それが、本書を読んで、強く感じたことです。
また智也にとっては、父や雄介という存在があったからこそ、それに抗うこと自体が生きがいになっていたのではないか、ということを本書から感じました。
雄介に重なった、自分の一部
小学生や中学生の頃、力があったりや運動神経が良くて人気だった人も、
年齢を重ねるにつれて、周りからの反応が変わっていく——その感覚には思い当たる節があります。
年を重ねるにつれて周りでは、運動神経よりも、勉強ができるか、仕事で成績を残しているか、という点に注目されているように感じます。
そして雄介の異常なほどの自己顕示欲。
現実世界の周りの人たちや、雄介の自己顕示欲について考えると、
嫌悪感はあれど どこか人ごとで、
私は、自己顕示欲は低いほうだと思っていました。
けれど最近、会社や大学の同期が活躍している姿を見て、素直に「すごい」と思うと同時に、どこかで羨ましいと感じている自分に気づくことに。
自分の中にも雄介のような部分があるのかも、と思わずにはいられませんでした。
希望と絶望、そのあいだ
作中で語られる、「植物状態でも最後まで耳は聞こえる」という話も印象的でした。
そして、漫画『宇宙兄弟』に登場する、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を患ったシャロン博士を思い出しました。
本作ではそこまで絶望的には描かれていませんが、もし自分が聴覚だけを残して動けない世界に置かれたら、強い絶望を感じてしまうと思います。
それでも、物語の終盤には智也が復活しそうな、ほのかな希望が感じられました。
まとめ
ずしんと重たいテーマで、読了後は考えさせられる朝井作品。
最後まで読んで強く感じたのは、
「生きていく以上、誰しも煩わしさから逃れることはできず、結局は生きていくしかない。」
ということ。
普段 読書記録として使っているサイト・『読書メーター』でのみなさんの感想もそれぞれで、
他の書籍以上に、他の方の感想を読むのも楽しい作品でした。
***
今回のストーリーは、「螺旋プロジェクト」の一つとのことだけれど、
朝井リョウさんは、マイノリティにフォーカスしているのかな、とも感じます。
(といっても小説は『生殖記』『正欲』からのまだ3作目ですが。)
ただエッセイ『風と共にゆとりぬ』を読んだ時は、
「え、朝井さんて、こんな面白くてリア充男子だったの?!」と衝撃的でした。
小説からは、もっと私と似ていて内向的で、陰鬱な人かと思っていたので(笑)。
これからも朝井リョウさんの作品を、少しずつでも読んでいきたいと思います。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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書籍紹介
タイトル:死にがいを求めて生きているの
著者: 朝井リョウ
価格:1,760円(税込)
ページ数:473ページ
発行:中央公論新社
発行日:2019年3月7日
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