自分は子どもが欲しいのか…?
現在私は33歳、結婚してから早1年半。
ずっと心の中でもんもんとしている問いです。
ぜったい欲しくもなく、ぜったいいらなくもない。
でもいざ欲しいとなったら、タイムリミットもある。
自分の頭のなかだけで考えていても悶々とするだけだと思い、関連書籍を読んでみました。
***
著書の くどうみやこさん自身も子どもを持てなかった方で、13人の子どものいない女性へインタビューをされています。
本書を読んで、いろいろな考え方・捉え方があるのだなと、視野が少し広くなりました。
特に印象的だったパートなどを抜粋、紹介していきます。
本書の目次
第1章:「産む」と「産めない」のはざまで〈女性と時代の関係〉
第2章:子どもがいない女性13人の人生
第3章:子どもがいない女性の意識調査〈未産女性の胸の内〉
第4章:子どもがいない女性のカラダとココロ〈専門家からの見解〉
第5章:子どもがいない女性の心得〈人生を好転させる九つのヒント〉
要約
印象的な言葉をピックアップします。
(・や▶︎:引用、 *:ブログ管理人の感想です)
第2章:子どもがいない女性13人の人生
特に印象的だった、4名の方の言葉を紹介します。
同じ境遇や信頼できる人に気持ちを吐き出す
久保田初美さん(仮名)・50歳・パート・既婚
2回流産をし、妊婦を見るだけでもつらい気持ちになる。
ずっと心がくもったままだった久保田さん。
しかしネットで探した不妊当事者の交流会に参加し、そこで初めて胸のうちを泣きながら話します。
すると胸のつかえが少しとれたと話します。
流産の辛さは、当事者同士にしか分からないと思います。
ましてはずっと子どもが欲しいと思っていたら、その辛さはなおさら..。
学ぶ意欲や向上心で自分を成長させる
石川真由美さん(仮名)・53歳・フリーランス・独身
フリーのデザイナーの石川さんは、仕事において、ママ目線や子ども目線がうらやましく感じることはあるそう。
しかし仮に子どもを産んだとしても、いい母親としてきちんと育てる自信がなかった。
そしてママ友たちとの輪にもうまく入れないと苦笑いを浮かべる石川さん。
子どもがいないので、自らの成長機会を与えるために、50歳を過ぎてから、デザインの学校に通い始めます。
「学生にもどったようなフレッシュな気持ちになれるうえに仕事にも役立つ。」
と話します。
*石川さんの感覚や考え方は、今の私の感覚に一番近いなと思いました。
私も今は自分一人が生きるのに精一杯なので、ましてや人を育て上げる自信がないです。
(後に「やっぱり子どもが欲しい!」と、気持ちが変わるかもしれませんが。)
子どもがいない利点をフル活用する
堀越千恵さん(仮名)・61歳・会社経営・既婚
結婚したころは子どもを望んでいましたが、30代前半に2年ほど不妊治療をした後に流産。
当時は傷ついていたと話します。
しかし堀越さんには、そんな過去があったと今では思えないような吹っ切れ感があります。
「子どもがいない運命だったと受け入れました。
子どもができなかったことを、ずっと引きずっていても何も変わらない。
そこにこだわっているより、違うことに目を向けた方がいいでしょ」
*とても前向きな、この言葉が印象的でした。
子どもをあきらめたことで、働くことに全力投球しようと決め、現在の美容関連の会社経営の仕事につながったと言います。
「人生、何があるかわからないけれど、起こったことは受け入れるしかない。
子どもがいないことを悲観しているのは、もったいない。
まだわかければ尚更、ほかにできること、やりたいことを見つけて輝いて欲しいです。
それにこの年になれば、みんな子育てを卒業しているので、子どもの有無は関係ないつきあいができるようになりますよ。」
「まぁ、私は子どもには恵まれなかったけれど、旦那には恵まれたかな。」
と話す堀越さんと旦那さんは、仲が良く友達夫婦のような関係だそう。
とても理想的な夫婦だなと思いました。
地域の子どもたちとふれあう活動をする
髙橋小織さん・51歳・会社経営・独身
創業者であるお父様のもと、26歳で書店業に入り、34歳のときにあとを継いで社長に。
若くして社長になったことで、とにかく無我夢中で突っ走ってきたと言います。
「私も子どもは欲しかったし、結婚をするチャンスもあったけれど、できない状況でした。」
リーダーシップを実行力を兼ね揃えた髙橋さんには、多くの人が相談に来ると伺いました。
子どもを産めなかったことがつらくて、ずっと悩んでいる女性が相談に来たら、どうアドバイスをするか聞いてみました。
「どれだけ苦しいところにいても、今いる状況で楽しさを見出すことが大切です。
子どもがいないことは変わらないのですから。
それを受け入れながら、どう好転させていくかの方が重要です」
そんな髙橋さんは、書店内や児童養護施設で、子どもたちへ本の読み聞かせを行っています。
「子どもがいないことが、悪いとか、いいとか、正しいとか、間違っているということではなく、この世に生まれてきた限り、誰にでも役目は必ずあるので、自分の子どもを授かれた人は子育てを一生懸命すればいいし、そうでない人には何かまだ別の役目があるはずです。
それを見つけることが大事なんです」
*髙橋さんのことばも印象的で、すっと自分の中に入ってきました。
今、私は子どもがほしいか分からなくて悩んでいるけれど、きっとどちらの人生になってもいい。
ただし、少しでも子どもが欲しいかもしれないと思うのなら。
妊活をするなり、出来るだけのことをしておいた方が、後に悔やまない人生を送れるんじゃないかなと思いました。
第3章:子どもがいない女性の意識調査〈未産女性の胸の内〉
本書では子どもがいない女性へ、アンケートを行っています。
その中でも気になった点を記載します。
※回答者の属性:平均年齢42.2歳、年齢層:28~61歳、全国エリアの女性/85名
▶︎子どもを持たなかったいちばんの理由は、タイミングを逃したから
2位:病気による体の事情
3位:育てる自信がないから
最初から子どもは持たないと決めていたのは8.2%だそうです。
▶︎子どもがいない最大のメリットは、自分のために使える時間が多いこと
2位:自分のしたいことを優先できる
3位:旅行やレジャーなど行動が制限されない
4位:子どもがらみのつきあいをしなくてする
5位:子育てのストレスや心配事をしなくてすむ
▶︎来世は子どもが欲しいのは約半数、欲しくないのはわずか7%
「来世は自分の子どもが欲しい」と答えた方の理由は主に5つの回答パターンがありました。
- 違った経験をしてみたい
- 自分の子どもを見たい願望
- 夫への思い
- 親への思い
- 来世で思いをかなえたい
・子どもが好きで欲しかったから、など
特に意外だったのは、「夫への思い」です。
- 夫を父親にしてあげたい
- 夫に自分の子どもを見せて喜んでもらいたい
- 夫が生きた証として子どもを産んであげたい
今の自分にはない感情だったので、予想外の回答に少し驚きました。
第4章:子どもがいない女性のカラダとココロ〈専門家からの見解〉
【脳科学】の立場から
産まずに成熟する脳、産んで成熟する脳
黒川伊保子氏・(株)感性リサーチ代表取締役
▶︎子どもがいない女性へのメッセージ
子どもがいる女性の脳は、産んだことを境に位相が変化します。
対して、子どもがいない女性は、母性をあまねく社会に照射できる脳として成熟していきます。
産まない人生に、誇りをもってください。
脳は無駄なことをしないし、無駄な脳はこの世に一切ありません。
子どもを産んだ女性は、子育てに手を取られることを含めて、水平展開していく人生。
子どもを持たなければ、一つ物事を追求して階段を上がっていくことができる人生。
どちらも素晴らしい人生です。
【不妊】研究の立場から〜
不妊治療で授かれなかった夫婦のあり方
野澤美江子氏・東京工科大学 医療保健学部看護学科 教授
現代は晩婚化、女性の社会進出などの影響から、子どものことを先延ばしにする傾向があります。
子どもを産むことの優先順位が下がってしまうのは、子どもを得る能力である「妊孕性」の誤った認識が、一つの要因として考えられます。
男性の精子は生まれてからどんどん新しいものができますが、女性の卵子はすでに胎児期につくられ、そこから徐々に自然淘汰され、数は減る一方です。
卵巣はいわゆる卵子の貯蔵庫の役割をもっており、20歳のときは20年前の卵子がおなかにいる状況になります。
したがって40歳であれば、40年ものの卵子になるわけです。
悲しいかな、月日を重ねるほど卵子の質は落ちていきます。
これは揺るぎない事実です。
女性の卵子はどんどん減っていく
このことは知らなかったので、ちょっと衝撃でした。
▶︎子どもがいない女性へのメッセージ
現代は、夫婦の6組に1組が不妊治療をしています。
…治療して妊娠、出産できるケースより、出産まで至らない割合のほうが多いのが現状です。
…治療終了後は、子どもが存在しないことに対する思考の転換をして、新たに自分らしいことを見つけてほしいと思います。
そして、子どものいる、いない人でそれぞれの気持ちをわかり合い、お互いを思いやる社会になっていくことを願っています。
第5章:子どもがいない女性の心得〈人生を好転させる九つのヒント〉
九つのヒントのうち、1つを抜粋します。
▶︎子育てを免除された人生を楽しもう
「育児業務を免除するから、自分の好きなことを追求しなさい」
「私は、子どもを持てなかったのではなく、子どもを持つことを免除されたととらえるようにしました。
新しい人生の筋書きを決めるのも自分自身。
まだまだ人生は長い。
徐々にこだわりを手放して、少し先を読みながら、しなやかに生きていく。
それが人生を好転させる秘訣です。」
まとめ&感想
著者のくどうみやこ さんも、子どもが欲しかったけれど、タイミングや病気のために産めなかった女性の一人です。
本書を読んで改めて認識したのは、本当に産みにくくなるのは40代前半だということ。
それを考えたら、私にはまだ時間があります。
しかし一方で、いつまでも産めるわけではないのも事実。
早く有無に越したことはない。
まだ大丈夫、と思っていると、タイミングを逃してしまう、ということです。
今まだ「いらないかも」と思えるのは、「まだ産める可能性が高い」と自分で思っているということが分かりました。
これが「もう産めない」となると、とてつもなく欲しくなるのかもしれません。
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そして本書を読むまできちんと認識できていなかったのは、子どもが持てなくてとても悔やんでいる人たちがいることです。
また一方で、それを受け入れて、自分の人生を謳歌している人たちもいるということも知りました。
本書の表紙はアンニュイ(気怠い)というか、なんだか物悲しそうな女性のイラストです。
中身もちょっと憂鬱な女性たちのコメントなのかな、と思って読みましたが、そうではなかったです。
むしろ子供がいない人生を受け入れて、前向きに生きる女性たちが多かった印象です。
本書を読んだ後に、カフェでお子さんづれの人たちを見ると、少しだけ子どもが欲しくなってきました。
でも同時に、今の仕事をしながらの子育ては本当に大変だと思います。
その時になったらできるのか。。
もう少し精神的にも負担の少ない、俗に言う “自分に合った仕事” をしたいとも、本書を読んで強く思いました。
それではここまで読んでくださり、ありがとうございました。
読書レビュー:2023/9/17
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同様の内容で、犬山紙子さんの「私、子ども欲しいかもしれない。:妊娠・出産・育児の〝どうしよう〟をとことん考えてみました」も参考になりました。
こちらの読書レビューも、良かったら読んでみてください。
【読書レビュー】犬山紙子さん「私、子ども欲しいかもしれない。」
書籍紹介
タイトル:誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方
著者: くどうみやこ
大人ライフプロデューサー/トレンドウォッチャー
価格:1,300円+税
ページ数:222ページ
発行:株式会社主婦の友社
発行日:平成30年1月10日